S君の話

もう、10年以上前、某病院のICUにいた頃なんだけどね
ある晩、時間外手術で呼ばれて、21才のSという患者に外シャントつくってね
当時はそれが主流だったから、それで透析回したの・・・
病名は急性腎不全でね、21才なのに可哀想って誰もが思ってた。
母親の話だと半年くらい寝たきりでいたって・・・
で、翌朝、胸部と腹部レントゲン撮ったら、腹部の下ギリギリに
毛糸玉みたいなのがうつってね なんだーって骨盤撮り直したら
なんか、膀胱の中に毛糸玉の大きいのがうつってて、
本人に問いただしたら、それ、工事用の電線コードでね
おちんちんから、入れちゃったらとれなくなったって・・・
まぁ その手の趣味の子だったのね
で、またすぐに開腹手術・・・あちこちにドレーン(排膿用の管)はいって
出てきた物は、すでに石灰化してた・・・
ばれちゃって、彼、壊れちゃったのね 叫ぶのよ
やらせろー とか いじってくれー とか 結婚してクレー とか
みんな気持ち悪がって、必要最小限しか近づかない・・・
血圧は計るのも2人体制でね・・・しがみつくから
とうとう、彼 そばにきてほしくって死んだまね始めたの
呼吸とめて・・・で モニターで観察してるからね
そのたび看護婦が走ってたんだけど・・・
とうとう、ホントに亡くなっちゃったの・・・夜中に、
で、翌日当直だったんだけどね・・・あたしが
ICUだから、看護婦と学生いれて、5人で泊まるわけ
半分ずつ、休憩とるんだけど、あたしが先に休んでたら
同僚が呼びにきたの・・・おかしい・・・って
室温が異常に下がっててね、調整全く効かない・・・
ボイラーに電話しても異常はなしと・・・
で、廊下に出ると・・・問題ないわけ・・・
しょうがないから、患者さんに布団かけて保温して・・・
5人でカウンターに座ってたら・・・
パタン・・・って
みたら、端から、モニターや呼吸器にかけてある布が
人が引っ張ってるみたいに、順番におちてくの・・・
パタン パタン・・・って
ぜーんぶ布が落ちたら、順番にね
端から点滴棒(天井からつってある)が揺れてね・・・
一本筒・・・ゆらゆら・・・
で、最後にSが寝てたベットの上で大揺れ・・・
かたまってたね・・・あたし達・・・
でも、定期業務あるからね・・・動かないわけにいかない
そんな状態が2時頃から続いて
5時頃、すーっと空気が軽くなってね・・・
室温ももどってる・・・
そんなことが3日くらい続いてね・・・もうみんなくたくた
・・・・でこんな事も忘れかけた頃、
仮眠中に夢みちゃってね・・・
背中向けた患者さんがドクターに聞いてるわけ・・・
「僕の死因はなんですか・・・」って で
振り向いた顔が・・・Sでね 怖かったよぉ
こんな夢、5人くらい見ちゃってね・・・辞めた看護婦もいる。
こわかったなぁ・・・

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