レントゲン技師の思いは・・・

Oさんという、レントゲン技師がいた。
病名ははっきり、覚えていないけど、心臓の病気を抱えていたの
ある時、彼がとうとう、倒れて、市内の専門医のいる病院に入院した。
職員全体に、輸血の協力を求める回覧が回ったのが数日後・・・
あたしは、血型が一致しなかった。残念ながら・・・

どうやら、大きい手術になりそうで、許可がでるまで、職員もお見舞い禁止。
状態的にかなり、難しいらしい・・・って話だった。
長時間の手術の結果もむなしく、亡くなった事を聞いたのは翌日。

ちょっとした噂が広がったのが数日後・・・
院内で、彼をみかけると・・・それも夜間・・・

まだ、仕事してるんだね・・・ってみんなしんみりしたっけ・・・
腰の軽い、いい人だった。

ある、当直の晩、もちろんICUでね
深夜ICUの2重ドアの外側のドアが開いた音がした。
で、あたしも、同僚も誰が来たのかな・・・ってドアの方向いた・・・
ICUだから、深夜の出入りは良くあること。医師も看護婦も出入りする・・・
数分たっても誰も来ない・・・
ICUは2重ドアになってて、外ドアと中ドアの間に、下駄箱とちょっとした更衣室
片隅に、ICU専用の検査器具なんかがある・・・

スリッパを履き替えているにしても、遅すぎる・・・
不審に思って、見に行こうと立ち上がったとたん、音がした・・・
・・・グィーン・・・ポーター(移動式のレントゲン撮影機)の動かす音・・・
ああ、脳外かなんかでオーダー出て、呼ばれたんだな・・・って思った。
そんなこと、日常茶飯事だったからね。
でも、音が止まると、ドアの開く音がしない・・・

やっぱり、変だねって 見に行った・・・3人で
中ドアを開ける(自動ドア) ・・・誰もいない・・・
なんにも、誰も・・・
あたし達は黙ってもどった・・・
Oさんだなって・・・同時にわかったから・・・
まだ、彼は院内で仕事してる・・・
あれから、多くの職員が彼の気配や音に遭遇した・・・
でも、ちっとも怖くなかったよ・・・

今も院内にいるのかなぁ・・・

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