ちりんちりん・・・

とても仲のいい老夫婦がいてね、おばあちゃんが入院してたんだけど
おじいちゃんが付き添ってたの。
で、まぁ、経済的に余裕あったんだろうけど、個室に入ってた。
子どもは確か、いなかったなぁ・・・

おばぁちゃんはほとんど寝たきりで、自分では何にも出来なかったんだけど
そりゃもう、献身的に、おじいちゃんが尽くしてたの・・・
でもね、おじいちゃんも、もう耳が遠くてね、夜中におばぁちゃんが呼んでも聞こえない
で、ベットと冷蔵庫にヒモ結んで、鈴つけてね、用事があると揺らす

ちりんちりん ちりんちりん・・・って

結構長く入院してたんだけど、とうとう、おばぁちゃんが亡くなった。
おじいちゃんは、付き添ってたベットとか、小型冷蔵庫とか寄付してったの。
でね、とりあえず地下の物置に保管してあった。

看護学生の寮が旧館の最上階にあったんだけど、
消灯時間過ぎたら、正面も裏も玄関施錠されるから
守衛室の横の通用口から、出入りするのね、
ロビー抜けて、検査室やらとにかく夜は人気のない1階を抜けて裏玄関前から
5階の寮まで帰る・・・

学生から噂がたってね・・・
地下の物置に続く階段の前通ると、鈴の音が聞こえる・・・って
ちりんちりん

でもねぇ 聞いたとき、知ってる看護婦は否定したのよ
だって、おじいちゃん、鈴持って返ったもの・・・
でもねぇ あんまり学生が騒ぐから、守衛が見に行った・・・

なんにも、音なんてしない・・・保管されてる寄付された物たちが
懐中電灯にうつされただけ・・・
もちろん、冷蔵庫にヒモなんてついてない・・・
でね、何にもないよって学生に言って、階段のぼりかけたらね・・・
聞こえたんだって
ちりんちりん

守衛は冷蔵庫の事情なんて知らないからねぇ・・・
警備記録に書いたって・・・
  確認するが不明・・・って

おばぁちゃん、呼んでるんだね・・・

  これはね、前の職場で医事の課長から聞いた話・・・守衛の記録

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